煮魚の作り方とコツ!基本手順と簡単割合【6:1の万能比率】

 
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魚介レシピ【煮魚の基本とコツ】

今回は煮魚の基本手順と、いろいろな魚に使える煮汁をご紹介したいと思いますので、和食調理の参考にされてはいかがでしょうか。

煮魚の基本と作り方のコツ

簡単で万能な割合比率【6:1】

煮魚を作るときによく使う比率は、酒+水=6に対して醤油が1の【6:1】です。

そして、甘さを砂糖で調節したものが「魚の煮汁」と思ってください。

煮物の味つけは「たし算」や「引き算」と同じようなものですから難しく考えないでください。そうすると、煮物以外の料理も簡単に作れるようになります!

味つけの「たし算と引き算」

上記の割合を、たし算に置きかえると【酒と水 6+醤油 1+砂糖】になります。

そして、たし算の材料ごとの具体的な例が、旨味(煮る食材や酒)+塩味(塩や醤油)+甘味(砂糖やみりん)=「味つけ」となり、ポイントは旨味に対しての塩味と甘味のバランスです。

また、引き算の例では、甘味をみりんでつける場合に同じアルコール分の酒と甘味の砂糖を割合からマイナスするという具合です。

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煮魚でよく使う「6」の比率

煮魚作りで多い比率は【水5+酒1】と【水4+酒2】で、これを煮る魚に応じて変化させてください。

そして、くさみの強い魚を煮る場合や酒をきかせた煮汁を作るときは水と酒を同量の【3+3】にしてください。

同量の【3+3】の場合は酒の臭いが強いですからお酒の苦手な方や子供さんでも食べられるよう、煮汁をしっかりと加熱してアルコールを飛ばしてください。

■ このアルコールを飛ばす調理を「煮切る」といい、料理の本の作り方や割合に書いてある煮切り酒と煮切りみりんがその例です。

【補足】

煮汁が【水5+酒1】の場合は、煮ている間にアルコール分がほぼ飛びます。

調味料を合わせるときのコツ

■ 煮汁を合わせる場合は、杯数をお玉で順番にはかると手早く作れて、そのまま調理が続けられます。

6を酒と水で合わせるメリット

煮汁の「6」を酒のみで煮る場合、旨味は強くなりますが水を加えると2つのメリットがうまれます。

【メリット 1】

お酒が苦手な方でもアルコール臭を気にせず食べられる。

【メリット 2】

水を加えるのでコストがおさえられる。

煮魚作りで多い疑問「みりんは使わなくてもいいの?」

野菜の煮物を作るときは「みりん」をよく使いますが、魚介や肉類に入れると身がかたくなる作用が働きます。

したがいまして、みりんは仕上げに照りとコクを出すのに使用し、甘味は砂糖でつけてください。

また、これとは逆に身がやわらかい魚などは煮くずれを防ぐために、この効果を利用してあえて「みりん」を多く使います。

(例)かれいの煮つけ等

基本的な煮魚の作り方

下処理工程

【1】最初に、魚を湯に10秒程度通して汚れを浮き立たせ、冷水に落として血合いやうろこを取ってください。

■ この熱湯に魚を入れる調理法を霜降り(しもふり)といい、煮魚に限らず、魚の汚れや臭みを取るのに大変重要な工程です。

この霜降りをしないと魚の生臭さが残って美味しく仕上がらず、鮮度の悪い魚は臭くて食べられない場合があります。

また、鯛のかぶと焼きなども一度霜降りしてから焼くと、うろこが取れて食べやすくなります。

【関連】

魚の臭みを取り除く霜降り手順

煮る工程

【2】次に、水と酒を鍋に入れ、霜降りした魚と臭み消しの土しょうが(スライス)を加えてください。

【3】そして、煮汁がひと煮立ちしたところでアクを取り、火を吹きこぼれないよう調節して約5分間煮てください。

この段階でグツグツと沸騰させると、煮汁がにごって身がくずれる原因になります。また、魚のアクは最初にしっかり取っとおくと、その後はあまり出てこなくなりますから神経質にならなくても大丈夫です。※ アクを気にしすぎて何度も取ると、身を傷つけて煮くずれる原因になります。
砂糖を加える工程

【4】このあと、砂糖を醤油よりも先に加えて、砂糖から出るアクをさっと取り除き、約5分間加熱してください。

【砂糖を醤油よりも先に入れる理由】

味付けの【さしすせそ 】

この順番で調味料を入れる理由

砂糖の量は難しく考えずに、先ほど酒と水をはかったお玉で「すりきり1杯」または「半分」などの目安を決めておくと手早く作れて失敗が減ります。

■ できれば、このときに落としぶたもしてください。

使い捨て落としぶたを簡単に作る方法

醤油を加える工程

【5】このあと、醤油を加えて、醤油から出るアクをすくい取り、さらに約10分間煮てください。

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ここからは、魚の種類や仕上げる状態によって加熱時間を調節してください。

煮るときの注意点

煮る時間があまりにも短いと、魚の中まで味が入りませんので10分程度は加熱してください。

また、少ない煮汁に醤油を加えると「こげやすく」なりますので気をつけてください。

※ 煮くずれしにくく、味が早く染む小魚などの例外はあります。
仕上げの工程

【6】そして、仕上げのみりんを加えたあと、さらに約5分間煮て、照りとコクを出すと完成です。

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■ できあがりの色を濃くするときは、みりんと同時に「たまり醤油」を加えて、しょうがの風味をきかせる場合は、仕上げに「しょうがのしぼり汁」を入れてください。

味付けの目安と盛りつけのコツ

仕上がりの煮汁が少し濃いかな? と感じるところで火を止めると丁度良い味加減になります。

そして、火を止めたあとに味が物足りないと感じる場合は、盛りつけ時の煮汁を多くすると魚の身を汁につけながら食べられますので調節できます。

手早く甘味を加えるコツ

砂糖をつかんだときのひと握りが何グラムになるのかを、あらかじめ量って目安にすると、料理のたびにスケールやはかりを使う必要がなくなりますので手早く作れます。

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煮汁の割合例

今回は調味料割合を整理いたしましたので、料理作りにお役立てください。また、各割合を元にして必要なものをノートなどにまとめておくと、調理場で開ける配合手帳として使えますので、献立作成や和食調理の参考にされてはいかがでしょうか。

かれいの煮物【水5+酒1】

「材料目安」

かれい2尾(400g)

(調味料の割合)

500㏄
100㏄
濃口醤油 100㏄
砂糖 50g
仕上げのみりん 少々
土しょうが 適量

■ 甘さをおさえる場合は、砂糖を半分にしてください。

かれいなどの白身に旨味を加えてあっさりと煮るときは、酒と水のかわりに「だし」を使って「昆布」で旨味をおぎない、醤油と砂糖の量を減らしてください。

かれいの煮くずれを防ぐ「揚げおろし煮」

いわしの香梅煮【水4+酒2】

「材料目安」

いわし5尾(200g)

(調味料の割合)

200㏄
100㏄
濃口醤油 50㏄
砂糖 大 2
梅干し 2個
仕上げのみりん 少々
土しょうが 適量

■ いわしは、かれいに比べて生臭さが強いですから、酒を増やしてください。

いわしを骨までやわらかく煮る方法

味つけのポイントと注意点

煮物の味つけに限らず、気をつけていただきたいのは、調味料を一度にたくさん入れすぎないことです。

味付けで一番困るのがこの部分で、薄い味は濃くしやすいですが、濃い味を薄くするのは大変です!

これは、煮汁に調味料を入れると抜くことができずに水や酒をたさないと味が薄まらないためで、この部分を押さえておくと失敗がかなり減ります。

【最後に】

調味料の細かい分量を料理の参考書やレシピ本と同じように量ったときに、口に合わないことが意外と多くありませんか?

人はそれぞれ、住んでいる場所や地域が違えば食習慣や食文化が異なり、味の好みも違いますので、食べなれた味をなによりも美味しいと感じます。

したがいまして、割合はあくまで目安程度にとどめておき、自分なりの作り方や味覚を大切にしていただきたいと思います。

また、そうすることが料理作りを一番楽しめ、作業が面倒な場合でも自分なりの達成感を味わえるようになり、調理業務を長続きさせる秘訣だと私は考えております。

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食材の下ごしらえ一覧

野菜の煮物レシピ一覧

肉類の煮物レシピ一覧

【参考】

季節別、旬の食材一覧表

煮物に役立つ飾り切り一覧

料理別の調味料割合を見る

料理別の煮汁割合一覧表へ

今回は煮魚の作り方とコツをご紹介いたしました。

他の魚レシピにつきましては≫「魚介の煮物レシピ一覧」に掲載しておりますのでお役立ていただければ幸いです。

次回は違うメニューでお目にかかりたいと思います。最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。