春の煮物【筍の下ごしらえ】
今回は春食材「筍(たけのこ)」のアクを取り除く下ゆで方法と、ゆでたあとに形をととのえるコツをご紹介したいと思いますので、料理作りの参考にされてはいかがでしょうか。
この記事の内容を
筍の下ゆで方法とアク抜きのコツ
筍の下ゆで方法
【1】最初に、筍の土を洗い流して、穂先を斜めに切り落としてください。
■ 大きな筍の場合は切る幅を長くして、小さいときは切り過ぎないよう注意してください。
【2】次に、ゆでたあと皮をむきやすくするため、斜めに切り落とした長さが短い方に縦の切り込みを1箇所入れてください。
【3】そして、鍋に筍、水、米ぬか、たかの爪を入れてください。
「水、米ぬか、たかの爪の目安量」
水 | 2ℓ |
米ぬか | 200g |
たかの爪 | 3本 |
このあと、落し蓋をして強火でひと煮立ちさせてください。
【4】鍋の湯が沸騰したところで、吹きこぼれないよう火加減を調節し、やわらかくなるまで(1時間以上)ゆでてください。
■ やわらかさを見る目安は、根元のかたい部分に金串、または細い竹串がスッと通る程度です。
かたさを見るときの注意点
ゆで具合を確認するときに、一般的な大きさの竹串を使うと太すぎるため、いつまでたっても刺さらないことがありますので、金串や細い竹串(ぎんなん串、または海老串)を使用してください。
(×太すぎる竹串)
【5】そして、火を止めたあとは温度が下がるまで、そのままの状態でさましてください。
※ 湯の中で、さますことを「湯止め」といい、筍に適した調理法ですが、本数が非常に多い場合は温度が下がるまでに時間がかかって、ゆですぎた状態になりますので、ざるに上げてください。
【6】このあと、米ぬかを洗い落として皮をむき、余分な皮を取りのぞいてから水でさらして、さらにアクを抜くと下ゆで完了です。
ゆでた筍をととのえる方法とコツ
【7】ゆでた筍の皮をむいたあと、根元側のやわらかい部分は食べられますので、色が白っぽく、表面がつるっとしたところから切り取ってください。
■この部分は「姫皮、または絹皮」といい、細切りにして和え物や酢の物に使えます。
【8】筍の皮をむいたあと、根本に残った皮を割り箸で上下にこすると簡単に取れます。
■ 根本の皮を取るときに包丁の峰でも落とせますが、割り箸を使うと筍に傷がつきにくいです。
【9】最後に、根元のかたい部分を包丁でむき取って、黒くてかたい皮を切り落とすと、全ての下処理が完了です。
■ 調理するときに縦半分に切って、大きい場合はさらに穂先と根本を切りはなし、煮物や焼き物などに使ってください。
甘くて美味しい筍の理由
高級料理店の筍は白くて甘味があり、大変やわらかいですが、あの筍には美味しくするための手間ひまがかけられています。
農家では筍を育てるために収穫が終わったあとの5月後半から竹やぶ全体に肥料をまき、数週間寝かせておられます。
そして、筍を採らない場所の土を重機で掘りおこし、竹やぶ全体にまんべんなく広げて、次の年に出てくる筍のために「ふわふわの掛布団」のようなやわらかい土をかぶせています。
こうした手間ひまをかけることで翌年にのびる筍がかたい土を押し上げる必要がなく、繊維がやわらかい状態で成長し、まだ土から顔を出していないものを長年の経験で朝堀りしてこられます。
この朝掘り筍の採れたてを素早くゆでると全体にアクが回ることなく、砂糖をかけたのか? と思うほどの強い甘味を感じます。
私事で恐縮ですが、この作業は自身が体験させてもらえた工程で、調理場での追い回しよりも重労働でしたが、ゆでたての筍を食べたときの驚きと甘味は今でも心に残っています。
(貴重な経験をありがとうございました)
【関連】
≫春の煮物レシピ一覧
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【参考】
今回は筍の下処理方法をご紹介いたしました。
他の春料理につきましては≫「春の煮物や食材の下ごしらえに関連した料理内容一覧」に掲載しておりますのでお役立ていただければ幸いです。
次回は違うメニューでお目にかかりたいと思います。最後まで閲覧していただき、ありがとうございました。