【海老の煮物】
今回は海老を煮るときにかたくなってしまう原因2つと、煮るときに気をつけるポイントをご紹介したいと思いますので、献立作成や和食調理の参考にされてはいかがでしょうか。
海老をやわらかく煮るコツ
海老は煮物、天ぷら、お寿司、塩焼きなど、用途の広い食材ですが、火の通し具合が難しい材料です。
そして、身の質や形が特殊なため、他の食材と同じ方法で煮ると「かたく」なりやすいです。
しかし、かたくなるのには大きな原因が2つあり、その点に注意していただくと、やわらかく作れます。
海老の煮物がかたくなる原因2つ
- 殻をむいてから煮る
- 温かい煮汁に浸けたまま冷ます
この2つが海老をかたくする主な原因です。
①皮はむかずに煮てください
海老は煮物に限らず、殻をつけたまま調理することが多い食材です。
そして、塩焼きも殻はつけたまま焼き、ゆでる場合も殻つきで火を通して、食べるときや冷めてからむきます。
この殻をむかない理由は、赤色をきれいに出して形良く仕上げることと、火の通りをゆるやかにするためです。
そして、料理の種類によっては殻をむいてから調理することもありますが、うに衣をつけて焼く「うに焼き」や卵黄をぬる「黄身焼き」などは、焼いたあとにそのまま食べます。
この場合は、他の食材で衣をきせて、余分な水分や旨味が流れ出ないようにすると同時に味や風味をつけています。
ですが、殻をむいてゆでると、色素が湯にとけ出して鮮やかな赤色にはならず、旨味や水分も流れでて、冷めていく段階で身がちぢみます。
これは煮物のときも同様ですから、海老の旨煮(うまに)や芝煮(しばに)を作る場合は、殻をつけたまま調理した方が簡単でやわらかくなり、鮮やかな赤色で形良く煮上がります。
海老の殻をむいて煮る例
殻をむいてから煮る料理では片栗粉、またはクズ粉をまぶして煮る「吉野煮」や卵黄をつけて煮る「黄身煮」があり、どちらもかたくならないよう手早く火を通して、別に冷やしておいた吸い物だしや八方だしに浸けて、味をなじませています。
■ お吸い物の具として入れる千鳥海老やクズ叩き(つらら海老、海老水晶)と呼ばれるものは「吉野煮」と同じ方法で下ごしらえをしています。
②煮汁に浸けたまま冷ますと?
温かい煮汁につけたまま冷ますと、身がちぢんでかたくなり、パサパサした食感になります。
解決方法
海老の芝煮や含め煮のように、たっぷりの煮汁で味をなじませる場合は、火が通ったところでザルに上げ、蒸発する熱で乾燥しないよう濡れた布巾やキッチンペーパーを上にかぶせ、煮汁とは別々に冷ましてください。
そして、煮汁を一度漉してから、その中で味を含ませてください。
そうすると、やわらかくてプリッとした、食感の良い煮物に仕上がります。
温かい煮汁で調理する料理例
温かい煮汁につけたまま冷ますときは、煮くずれしやすい魚の煮物や、火を止めたときには中まで完全に火が通ってない状態で、だし汁が冷める段階で煮上がるよう時間を計算して作っています。
この例では「魚の煮付け」、熱い煮汁を入れてから密封して火を通す「飯だこの桜煮」、「いかの煮物」または「身の大きい貝類」などがあります。
そして、海老の場合は熱した煮汁に入れたあと、ほとんど火を加えずに鍋を火からはずしたり、霜降りした海老を保存容器に入れてから、温かい煮汁をたっぷりと注いで手早く蓋をして火を通しています。
また、ちがった例では、牛の時雨煮、海老のつや煮といった料理があり、煮立てた調味だしに食材を入れて、火が通ったところで煮汁から取り出し、別々に冷ましたあとに再度浸け込む、あるいは煮汁だけを煮詰めてから材料をもどして、サッと煮からめる程度に仕上げています。
今回の方法は他の肉類など「かたくなりやすい食材」にも応用がききます。
注:調理作業は火と刃物を使いますので、ヤケドやケガには十分注意して、料理作りを楽しんでいただきたいと思います。
【関連】
おせち料理などに使える「車海老」の煮物につきましては≫「車海老のうま煮の作り方と割合」に掲載しております。
片栗粉やくず粉をまぶしてから煮る
【参考】
今回は海老の煮物をご紹介いたしました。
調味料割合につきましては≫「だし、たれ、煮汁の割合50音一覧」に掲載しておりますので参考にされてはいかがでしょうか。